Uber Eatsの配達で売上を得るために必要だった支出は、所得を計算するときに必要経費へ算入できる場合があります。代表例は、配達で使ったガソリン代、車両の整備費、スマホの通信費、配達バッグなどです。
ただし、「配達中に支払った」「配達にも使った」というだけで全額が経費になるわけではありません。私用にも使う車両やスマホは、配達で使った部分を記録に基づいて分けます。高額なスマホや車両は、購入年に全額を計上せず、減価償却が必要になることもあります。
この記事では、2026年8月時点の国税庁資料をもとに、Uber Eats配達パートナーの経費になるもの・ならないもの、家事按分、減価償却、証拠書類の残し方を解説します。個別の支出が経費になるか迷う場合は、税務署または税理士へ確認してください。
【結論】配達との関係・金額・証拠で判断する
経費にできるか迷ったら、次の3点を確認します。
- Uber Eatsの売上を得るために必要な支出か
- 私用を含む場合、配達分を合理的に分けられるか
- 日付、金額、支払先、内容を帳簿と資料で説明できるか
主な支出の扱いは次のとおりです。
| 支出 | 経費の考え方 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| ガソリン代 | 配達使用分は対象になり得る | 私用兼用なら走行距離などで按分 |
| スマホ通信費 | 配達使用分は対象になり得る | 私用分を除く |
| スマホ本体 | 配達使用分は対象になり得る | 取得価額により減価償却などが必要 |
| 自転車・原付・バイク | 配達使用分は対象になり得る | 購入費は取得価額と使用開始日に注意 |
| 修理・整備費 | 配達使用分は対象になり得る | 改良に当たる支出は資産計上の場合あり |
| 自賠責・任意保険 | 配達使用分は対象になり得る | 契約上、配達利用が補償対象か別途確認 |
| 配達バッグ・固定用品 | 配達業務用なら対象になり得る | 私用分があれば除く |
| ヘルメット・雨具・グローブ | 業務専用性を説明できる部分 | 普段使いできる衣類は慎重に判断 |
| 駐輪場・駐車場・有料道路 | 配達のために利用した分 | 私用・通勤分を除く |
| 会計ソフト | 配達収入の管理・申告に使う分 | 他用途と共用なら按分を検討 |
「○○は必ず経費」と品名だけで決まるものではありません。同じスマホでも、配達専用か、私用が大半かで計上額は変わります。
経費を引くとUber Eatsの所得が分かる
所得税では、収入と所得を分けて考えます。Uber Eatsの所得は、年間売上から必要経費を引いて計算します。
Uber Eatsの所得 = 年間売上 − 必要経費
年間売上が100万円、必要経費が30万円なら、所得は70万円です。経費を漏れなく記録すれば所得を正しく計算できますが、私的な支出を混ぜて税金を減らすことはできません。
確定申告が必要になる条件は「Uber Eats配達パートナーの確定申告」で詳しく解説しています。
ガソリン代は配達で使った分を計上する
配達で原付やバイクを使う場合、ガソリン代は代表的な経費です。配達専用車両なら業務との関係を説明しやすい一方、買い物や通勤にも使う場合は配達分だけを計上します。
走行距離で分ける方法なら、次のように計算できます。
業務割合 = 配達走行距離 ÷ 年間総走行距離
年間総走行距離8,000kmのうち、配達走行距離が6,000kmなら業務割合は75%です。年間ガソリン代が8万円の場合、6万円が経費の計算例になります。
ただし、75%という割合をすべての配達員が使えるわけではありません。給油レシート、メーターの記録、配達日、Uber Driverアプリの稼働履歴などを残し、自分の実際の使用状況から計算します。
原付にかかる費用全体は「Uber Eatsの原付配達にかかる維持費」も参考にしてください。
スマホ本体・通信費も私用分を分ける
Uber Driverアプリ、地図、店舗や注文者との連絡に使うスマホの費用も、配達使用分は経費になり得ます。
- スマホ本体
- 月額通信料と通話料
- 修理代
- 充電ケーブルや車載充電器
- スマホホルダー
- モバイルバッテリー
普段使いのスマホと共用している場合は、配達時間、利用日数、通信量など、実態に合う基準で按分します。「スマホ代は一律50%」などの決まりはありません。
スマホ本体は、購入代金だけでなく、業務で使い始めるために直接必要な費用を含む取得価額で処理を判断します。分割払いでも、月々の支払額をそのまま通信費にするとは限りません。
自転車・原付・スマホは取得価額に注意する
長期間使う車両や機器は、取得価額によって処理が変わります。
| 取得価額 | 原則的な処理 |
|---|---|
| 10万円未満 | 業務で使い始めた年に全額を必要経費へ算入可能 |
| 10万円以上20万円未満 | 通常の減価償却、または一定要件で3年間の一括償却 |
| 20万円以上 | 原則として耐用年数にわたり減価償却 |
一定の要件を満たす青色申告者には、少額減価償却資産の特例があります。2026年3月31日までに取得した資産は30万円未満、2026年4月1日以後に取得した資産は40万円未満が対象となり、年間合計300万円まで取得年の必要経費へ算入できる制度です。
この特例は、すべての配達員が自動的に使えるものではありません。青色申告、中小事業者などの要件、取得日、事業で使い始めた日を確認してください。また、私用と共用する資産は、減価償却費や特例による計上額のうち業務使用分だけを経費にします。
中古車両は、法定耐用年数をそのまま使わず、使用可能期間の見積もりや簡便法で耐用年数を計算する場合があります。金額が大きい車両は、購入前に税務署や税理士へ確認すると安全です。
修理費・保険料・車両の税金
配達車両の維持に直接必要な支出は、業務使用分が経費になり得ます。
- パンク修理、タイヤ交換、オイル交換
- 点検・整備費
- 自賠責保険料、任意保険料、自転車保険料
- 軽自動車税、自動車税、自動車重量税
- 配達中の駐輪料金、駐車料金、有料道路料金
通常の機能維持や原状回復に当たる修理は修繕費となる一方、性能や価値を高める改良は資本的支出として減価償却が必要になる場合があります。
なお、保険料を税務上経費にできるかと、保険契約が有償配達中の事故を補償するかは別問題です。契約内容は「Uber Eats配達パートナーに任意保険は必要?」を参考に、保険会社へ確認してください。
配達バッグ・装備品の扱い
配達業務で使う次の用品も、業務との関係を説明できれば経費になり得ます。
- 配達バッグ、仕切り、固定ベルト
- スマホホルダー、モバイルバッテリー
- ヘルメット、レインウェア、グローブ
- 防水ケース、ライト、反射用品
- 暑さ・寒さ対策用品
ただし、一般的な衣類、靴、防寒具などは私生活でも使えるため、配達中に着用しただけで経費になるとは限りません。配達専用として管理しているか、通常の生活用品とどう違うかなど、業務上の必要性と使用実態を説明できることが重要です。
用品選びは「配達バッグ」「スマホホルダー」「モバイルバッテリー」で詳しく解説しています。
私用と共用する費用は家事按分する
仕事と私生活の両方に使う支出から、業務で直接必要な部分を分けることを家事按分と呼びます。国税庁は、業務上必要な部分を明確に区分できる場合、その部分に相当する金額を必要経費へ算入できるとしています。
| 支出 | 按分基準の例 | 残す記録 |
|---|---|---|
| ガソリン・車両費・保険料 | 配達走行距離÷総走行距離 | メーター、稼働履歴、給油記録 |
| スマホ通信費 | 配達時間・利用日数など | 稼働履歴、料金明細 |
| 自宅の通信費 | 配達収入管理に使った割合 | 作業日、用途、契約明細 |
按分割合に全国共通の正解はありません。毎年都合よく割合を変えるのではなく、同じ基準で継続して記録し、変えた場合は理由を残します。
経費にならない主な支出
次の支出は、原則として必要経費へ算入できません。
| 支出 | 扱い |
|---|---|
| 通常の食事代・飲み物代 | 日常の生活費 |
| 私用分のガソリン・通信費 | 業務外の支出 |
| 所得税・住民税 | 必要経費にならない |
| 国民健康保険料・国民年金保険料 | 経費ではなく社会保険料控除の対象 |
| 交通反則金、罰金、科料 | 必要経費にならない |
| 延滞税、加算税、地方税の延滞金 | 必要経費にならない |
| 普段着として使える一般的な衣類・靴 | 私的支出と判断されやすい |
配達中の水分補給や食事も、配達中という理由だけでは経費になりません。研修・会議など別の事実がある場合は扱いが変わる可能性があるため、その事実と目的を記録します。
レシート・領収書と帳簿を保存する
レシートを箱へ入れるだけでなく、帳簿に取引日、支払先、金額、内容、勘定科目を記録します。按分した支出は、総額、業務割合、計算根拠も残してください。
保存する主な資料は次のとおりです。
- 紙のレシート・領収書・請求書
- クレジットカードと銀行口座の明細
- ECサイトの購入履歴と電子領収書
- 通信会社や保険会社の請求明細
- 走行距離、給油、稼働履歴の記録
メールやECサイトで受け取った領収書などの電子取引データは、原則として電子データのまま保存します。紙へ印刷しただけで終わらせず、日付・金額・取引先で確認できる状態にし、改ざん防止など電子帳簿保存法の要件に沿って管理してください。
クレジットカード明細だけでは購入内容が分からないことがあります。領収書や注文履歴も一緒に保存します。領収書がない場合も、支払記録に加え、取引日、相手方、金額、購入内容、配達との関係を帳簿へ記録し、事実を説明できるようにしましょう。
Uber Eats配達パートナーの経費に関するQ&A
Q.ガソリン代は全額経費にできますか?
A.配達専用車両で、全量を配達業務に使ったと説明できる場合は全額を計上できる可能性があります。私用にも使う場合は、走行距離などで配達分を按分します。
Q.スマホ代は何%まで経費にできますか?
A.一律の割合はありません。配達時間や利用日数など、実際の利用状況を示せる基準で業務分を計算します。
Q.40万円未満の原付なら購入年に全額を経費にできますか?
A.すべての人が使えるわけではありません。2026年4月1日以後の40万円未満という基準は、一定の青色申告者が使える少額減価償却資産の特例です。要件を満たさなければ通常の減価償却などで処理します。
Q.配達中の飲み物は経費になりますか?
A.通常の水分補給は生活費であり、配達中に購入しただけでは原則として経費になりません。
Q.電子領収書を印刷して保存すれば十分ですか?
A.電子取引で受け取った領収書や請求書は、原則として電子データの保存が必要です。国税庁が案内する検索・改ざん防止などの保存要件を確認してください。
まとめ
Uber Eats配達パートナーの経費は、品名だけでなく、配達売上との関係、私用分との区分、取得価額、保存記録から判断します。ガソリン代、通信費、車両費を私用と共用する場合は、走行距離や稼働時間などの根拠で按分してください。
高額な車両やスマホは減価償却を確認し、紙の領収書と電子取引データを適切に保存します。月に一度、売上・経費・走行距離をまとめておくと、確定申告時の漏れを防ぎやすくなります。



