Uber Eatsの配達収入を確定申告するとき、青色申告と白色申告のどちらを選ぶか迷う人もいるでしょう。
最初に確認したいのは、Uber Eatsの所得が事業所得に当たるか、業務に係る雑所得に当たるかです。青色申告を利用できるのは、事業所得、不動産所得または山林所得を生ずべき業務を行い、期限までに承認申請をした人です。副業だから白色、本業だから青色と自動的に決まるわけではありません。
2026年分の青色申告特別控除は、要件によって65万円・55万円・10万円です。さらに、2027年分から控除額と要件が変わることも決まっています。
この記事では、2026年8月時点の国税庁情報をもとに、Uber Eats配達パートナーが青色申告と白色申告を選ぶ順番、控除の条件、申請期限、帳簿、赤字の扱いを解説します。個別の所得区分や申告方法は、税務署または税理士へ確認してください。
【結論】先に事業所得か雑所得かを確認する
青色申告と白色申告を比べる前に、配達活動が社会通念上「事業」といえる規模・実態かを確認します。
| 状況 | 申告方法の考え方 |
|---|---|
| 事業所得に当たり、期限内に青色申告承認申請書を提出 | 青色申告を利用できる |
| 事業所得に当たるが、青色申告の承認を受けていない | 白色申告 |
| 業務に係る雑所得に当たる | 青色・白色の選択ではなく、雑所得として申告 |
| 配達所得が少なく確定申告義務がない | 申告要否を別途判定。事業所得なら記帳・保存義務は残る |
事業所得か雑所得かは、開業届や青色申告承認申請書を提出した事実だけでは決まりません。営利性、継続性、活動規模、設備、帳簿書類の保存などを総合して判断します。
取引を記録した帳簿書類がない場合は、収入金額が300万円を超え、事業所得と認められる事実がある場合を除き、原則として業務に係る雑所得に該当します。
青色申告と白色申告の違い
事業所得として申告する場合の主な違いは次のとおりです。
| 項目 | 青色申告 | 白色申告 |
|---|---|---|
| 事前申請 | 必要 | 不要 |
| 特別控除 | 65万円・55万円・10万円 | なし |
| 記帳 | 控除額に応じて複式簿記など | 簡易な記帳が可能 |
| 決算書 | 青色申告決算書 | 収支内訳書 |
| 帳簿・書類の保存 | 必要 | 必要 |
| 純損失の繰越し | 一定要件で翌年以後3年間 | 青色申告者向けの特例は使えない |
| 家族への給与 | 届出・専従等の要件を満たせば必要経費 | 事業専従者控除の範囲で所得控除 |
青色申告は税制上の特典がある一方、期限内の申請と要件に合った記帳が必要です。白色申告は事前申請が不要ですが、「帳簿を付けなくてよい申告」ではありません。
2026年分の青色申告特別控除は3種類
青色申告にしただけで、必ず65万円を控除できるわけではありません。2026年分の主な要件は次のとおりです。
| 控除額 | 主な要件 |
|---|---|
| 65万円 | 55万円控除の全要件に加え、期限内にe-Taxで申告するか、仕訳帳・総勘定元帳を優良な電子帳簿として保存して届出をする |
| 55万円 | 事業所得等を生ずべき事業、正規の簿記、貸借対照表・損益計算書等の添付、期限内申告 |
| 10万円 | 55万円・65万円の要件を満たさない青色申告者 |
55万円・65万円控除では、一般的に複式簿記で記帳し、記帳に基づく貸借対照表と損益計算書などを確定申告書へ添付します。還付申告であっても期限内の提出が必要です。
控除額は上限です。控除前の事業所得などの黒字が40万円なら、65万円控除の要件を満たしていても、差し引ける金額は原則として40万円までです。青色申告特別控除だけで所得を赤字にはできません。
また、現金主義による所得計算の特例を選択している人は、55万円・65万円控除を利用できず、10万円控除の対象になります。
2027年分から青色申告特別控除が変わる
令和8年度税制改正により、2027年分以後の青色申告特別控除は、原則として75万円・65万円・10万円の区分になります。
- 複式簿記、貸借対照表・損益計算書等、期限内のe-Tax申告などの要件:65万円
- 上記に加え、優良な電子帳簿またはデジタルシームレス保存の要件:75万円
- 簡易な記帳など:原則10万円
2026年分までは書面申告でも要件を満たせば55万円控除を利用できますが、2027年分以後は書面申告の控除上限が原則10万円になります。また、前々年の事業所得等の収入が1,000万円を超える一定の人は、簡易な記帳による10万円控除の対象から外れます。
この記事で扱う2026年分の申告と、2027年分以後の制度を混同しないようにしてください。
青色申告のメリット
青色申告特別控除を利用できる
要件を満たすと、事業所得などから最高65万円、55万円または10万円を控除できます。所得が減るため、所得税や住民税などが軽くなる可能性があります。
ただし、控除額がそのまま返金されるわけではありません。実際の税負担への影響は、所得金額、ほかの所得、所得控除、税率などで変わります。
純損失を翌年以後へ繰り越せる
青色申告者は、事業から生じた純損失を一定の要件で翌年以後3年間繰り越し、将来の所得から差し引けます。前年も青色申告をしていた場合は、繰越しに代えて前年へ繰り戻し、所得税の還付を請求できる場合もあります。
赤字を計上すれば必ず給与所得と相殺できるわけではありません。Uber Eatsの活動が業務に係る雑所得なら、そこで生じた損失をほかの所得と損益通算することはできません。所得区分を節税目的だけで決めないようにします。
家族への給与を経費にできる場合がある
生計を一にする15歳以上の家族が、原則として6か月を超える期間、その事業へ専ら従事しているなどの要件を満たし、期限までに青色事業専従者給与に関する届出書を提出した場合、相当な給与を必要経費にできる可能性があります。
配達を数回手伝っただけの家族へ支払った金額を、自由に専従者給与へできる制度ではありません。仕事内容、従事期間、給与額、実際の支払いを記録します。
少額減価償却資産の特例を使える場合がある
一定の青色申告者は、取得価額が基準未満の減価償却資産を年間合計300万円まで、取得年の必要経費へ算入できる特例を利用できる場合があります。2026年4月1日以後に取得した資産は40万円未満へ基準が引き上げられています。
車両・スマホ・装備品の処理は「Uber Eats配達パートナーの経費になるもの一覧」で確認してください。
青色申告のデメリット・注意点
申請期限を過ぎるとその年から利用できない
新たに青色申告を始める場合、原則として青色申告をしようとする年の3月15日までに承認申請書を提出します。その年の1月16日以後に新規開業した場合は、開業日から2か月以内です。
開業届は2026年から開業した年分の確定申告期限まで提出できますが、青色申告承認申請書の期限は延びていません。「Uber Eats配達パートナーに開業届は必要?」とあわせて確認してください。
65万円・55万円控除は帳簿と決算書が増える
複式簿記では、売上や経費だけでなく、売掛金、未払金、事業主貸・事業主借、車両などの固定資産も記録します。確定申告時には貸借対照表と損益計算書を含む青色申告決算書を作成します。
会計ソフトを使えば入力や集計を補助できますが、業務と私用の区分や勘定科目、減価償却の判断まで自動的に正しくなるわけではありません。
期限後申告では控除額が下がる
55万円・65万円控除には期限内申告が必要です。期限後に申告すると、原則として10万円控除になります。納付税額がある場合は、控除減少だけでなく延滞税や無申告加算税がかかる可能性もあります。
白色申告のメリット・デメリット
白色申告は、青色申告の承認を受けていない事業所得者が行う申告です。事前申請がなく、複式簿記や貸借対照表を前提としないため、青色申告の55万円・65万円控除より作業を簡略化できます。
一方、青色申告特別控除はなく、青色申告者向けの純損失の繰越しや少額減価償却資産の特例も利用できません。長期間事業を続け、毎年利益が出る人ほど、青色申告との税負担差が生じやすくなります。
白色申告でも、売上と経費を帳簿へ記載し、帳簿・請求書・領収書などを保存します。法定帳簿の保存期間は7年、その他の帳簿や書類は原則5年です。確定申告では収支内訳書を作成します。
Uber Eats配達パートナーはどちらを選ぶ?
次の順番で判断すると整理しやすくなります。
- Uber Eatsの活動が事業所得に当たるか確認する
- 青色申告承認申請書の期限に間に合うか確認する
- 年間所得と青色申告特別控除による影響を試算する
- 複式簿記、貸借対照表、期限内申告を続けられるか考える
- 赤字繰越しや専従者給与など、実際に使う特典を確認する
事業所得に該当し、今後も継続する予定で、帳簿管理ができる人は青色申告を検討する価値があります。事業所得でも申請期限を過ぎた場合や、まず簡易な記帳から始めたい場合は、その年は白色申告になります。
小規模な副業で業務に係る雑所得に当たる場合は、青色と白色を選ぶ問題ではありません。確定申告の要否と所得区分は「Uber Eats配達パートナーの確定申告」で確認してください。
青色申告を始める手順
- 事業開始日と所得区分を確認する
- 開業届を期限までに提出する
- 青色申告承認申請書を期限までに提出する
- 事業用口座・カードを生活用と分ける
- 売上、経費、現金配達の精算を記帳する
- 年末に棚卸し・減価償却・未払金などを整理する
- 青色申告決算書と確定申告書を期限内に提出する
65万円控除を目指すなら、確定申告時だけでなく年初から複式簿記で記録します。優良な電子帳簿による要件を選ぶ場合は、対象年の途中から保存方法を整えるだけでは要件を満たさないことがあるため、事前に確認してください。
青色申告・白色申告に関するQ&A
Q.副業のUber Eatsでも青色申告を選べますか?
A.副業でも、配達活動が事業所得を生ずべき事業に当たり、期限までに承認申請をしていれば利用できます。副業という理由だけで事業所得になるわけではありません。
Q.青色申告なら必ず65万円控除ですか?
A.違います。2026年分は記帳方法、決算書の添付、期限内申告、e-Taxまたは優良な電子帳簿などの要件により、65万円・55万円・10万円に分かれます。所得額が控除上限より少ない場合は所得額が限度です。
Q.白色申告なら帳簿を付けなくてもよいですか?
A.いいえ。事業所得を白色申告する人にも記帳と帳簿書類の保存が必要です。確定申告では収支内訳書を作成します。
Q.青色申告承認申請書を出し忘れたらどうなりますか?
A.原則として、その年は青色申告を利用できず白色申告になります。翌年から青色申告へ変える場合は、原則として翌年3月15日までに申請します。
Q.2027年分も55万円控除はありますか?
A.2027年分以後は制度が変わり、55万円区分は65万円へ引き上げられる一方、期限内のe-Tax申告が要件になります。書面申告の控除上限は原則10万円です。
まとめ
Uber Eats配達パートナーが青色申告と白色申告を選ぶ前に、配達所得が事業所得に当たるかを確認します。業務に係る雑所得なら青色申告は利用できません。
2026年分の青色申告特別控除は65万円・55万円・10万円です。青色申告には純損失の繰越しなどの特典がありますが、期限内の申請、記帳、決算書の作成が必要です。白色申告にも記帳・保存義務があります。
2027年分からは75万円・65万円・10万円へ制度が変わるため、申告対象年を混同せず準備してください。



