Uber Eatsの報酬は、会社員の給与のように毎回すべての税金が差し引かれているわけではありません。入金をすべて使うと、確定申告や翌年度の住民税で資金が足りなくなる可能性があります。
ただし、「売上の20%を残せば全員安心」とは断定できません。税金は原則として売上ではなく、売上から必要経費を引いた所得をもとに計算します。会社員の副業か専業か、青色申告特別控除、社会保険料、扶養、居住地によっても金額は変わります。
この記事では、2026年8月時点の制度をもとに、Uber Eats配達パートナーに関係する税金、所得別の試算、毎月残しておく金額の考え方を解説します。試算は条件を限定した概算です。実際の申告・納税額は国税庁の作成コーナー、自治体または税理士へ確認してください。
【結論】売上ではなく所得から取り分ける
最初に、1月1日から12月31日までの売上と必要経費を集計します。
Uber Eatsの所得 = 年間売上 − 必要経費
税金用に取り分ける金額の暫定目安は次のとおりです。
| 働き方 | 取り分ける目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 会社員の副業 | Uber Eats所得の15〜30% | 給与を含む所得税率で増減する |
| 専業・個人事業 | Uber Eats所得の15〜25% | 所得税・住民税用。個人事業税が加わる場合あり |
| 専業で国保・国民年金も払う | Uber Eats所得の25〜40% | 税金と社会保険料を分けて管理する |
| インボイス登録者 | 上記に消費税分を追加 | 消費税申告を別に試算する |
これは不足を防ぐための資金管理の目安であり、実際の税率ではありません。所得が少ない人は残り、給与所得が高い会社員や所得が多い個人事業主は不足する場合があります。
最も安全なのは、税金用口座を分けて毎月移し、確定申告書の試算後に金額を調整する方法です。
税金は売上ではなく所得から計算する
たとえば、年間売上が300万円、配達に直接必要だった経費が90万円なら、Uber Eatsの所得は210万円です。
300万円 − 90万円 = 210万円
税金用資金を所得の20%で確保するなら42万円です。売上300万円の20%である60万円を一律に残す計算とは18万円の差が出ます。
ただし、経費を増やすために不要な物を買うと、税金は減っても手元のお金は減ります。「経費にできるか」と「購入する価値があるか」は別に判断してください。
対象になる支出と家事按分は「Uber Eats配達パートナーの経費になるもの一覧」で解説しています。
Uber Eats配達パートナーに関係する主な税金・負担
所得税・復興特別所得税
所得税は、所得から基礎控除、社会保険料控除、扶養控除、青色申告特別控除などを差し引いた課税所得へ、5〜45%の累進税率を適用します。課税所得全体へ最高税率を掛けるのではなく、所得が増えた部分ほど段階的に税率が上がる仕組みです。
2026年分は、合計所得金額489万円以下なら所得税の基礎控除は104万円です。489万円を超えると基礎控除額が変わるため、全員が104万円ではありません。
所得税額には、原則として2.1%の復興特別所得税が加算されます。2027年分以後は防衛特別所得税の開始と復興特別所得税率の変更が予定されているため、申告対象年を確認してください。
住民税
住民税は前年の所得をもとに、翌年度に課税されます。所得割の標準税率は都道府県民税と市区町村民税を合わせて10%で、これに均等割と森林環境税などが加わります。
所得税と住民税では基礎控除や非課税基準が異なります。2026年分の所得税が0円でも、翌年度の住民税が発生する場合があります。非課税基準、均等割、独自の減免は自治体と世帯状況で変わります。
個人事業税
Uber Eatsの配達が事業所得に当たり、都道府県が法定業種の運送業・請負業などに該当すると判断した場合、個人事業税の対象になる可能性があります。第1種事業の税率は原則5%で、年間290万円の事業主控除があります。
個人事業税の所得計算では、青色申告特別控除を差し引きません。事業期間が1年未満の場合、事業主控除は月割りです。実際の業種区分と課税額は都道府県税事務所へ確認してください。
消費税
原則として、基準期間の課税売上高が1,000万円を超える場合などに消費税の課税事業者となります。また、適格請求書発行事業者として登録している人は、基準期間の売上高にかかわらず消費税の申告が必要です。
所得税用に残した資金と消費税用の資金を一緒にすると不足しやすいため、インボイス登録者は別に試算します。
国民健康保険料・国民年金保険料
国民健康保険料と国民年金保険料は税金ではありませんが、専業配達員の手元資金へ大きく影響します。会社員から独立した場合は、所得税と住民税だけでなく社会保険料も見込みます。
国民健康保険料の計算方法や料率は市区町村の条例、世帯人数、年齢などで異なります。全国共通の売上表から正確な金額は出せません。居住地の試算ページまたは窓口で確認してください。
【所得別】所得税・住民税の簡易シミュレーション
次の表は、専業の単身配達員を想定した参考計算です。
試算条件
- 2026年分のUber Eats所得のみ
- 所得は売上から必要経費を引いた後の金額
- 青色申告特別控除なし
- 所得税は基礎控除のみを反映
- 社会保険料控除、扶養控除、生命保険料控除などは反映しない
- 住民税は基礎控除43万円、所得割10%、均等割等5,000円として概算
- 税額控除、調整控除、自治体独自の非課税基準・減免は反映しない
- 個人事業税、消費税、国民健康保険、国民年金は含めない
| 年間所得 | 所得税・復興特別所得税 | 翌年度の住民税概算 | 合計概算 | 所得から残す目安 |
|---|---|---|---|---|
| 100万円 | 0円 | 約6万円 | 約6万円 | 10万円前後 |
| 200万円 | 約5万円 | 約16万円 | 約21万円 | 25〜30万円 |
| 300万円 | 約10万円 | 約26万円 | 約36万円 | 40〜45万円 |
| 500万円 | 約45万円 | 約46万円 | 約91万円 | 100万円前後 |
この表は実際の納税額を保証するものではありません。専業者が実際に支払った国民健康保険料・国民年金保険料は社会保険料控除になるため、通常は表より所得税・住民税が下がる場合があります。一方、個人事業税や消費税が発生すれば表より負担が増えます。
2026年分の合計所得が489万円を超える場合、所得税の基礎控除は104万円ではなくなるため、500万円の行は基礎控除67万円で計算しています。
会社員の副業は給与の税率で変わる
会社員の場合、Uber Eatsの所得だけに独立した税率を掛けるのではありません。給与所得などと合算した課税所得に所得税率を適用します。
たとえば、給与だけですでに所得税率10%の範囲にいる人は、副業所得の増加部分に対し、概算で所得税・復興特別所得税約10.21%と住民税約10%が影響します。所得税率20%の範囲なら、合計の増加負担は概算約30%になる可能性があります。
| 給与を含む所得税の限界税率 | 副業所得から残す暫定目安 |
|---|---|
| 5% | 15〜20% |
| 10% | 20〜25% |
| 20% | 30〜35% |
実際には所得控除、税額控除、住民税の調整控除などがあるため一致しません。給与の源泉徴収票とUber Eatsの所得を確定申告書等作成コーナーへ入力し、納付見込みを確認してください。
一定の給与所得者は、給与・退職所得以外の所得合計が20万円以下なら所得税の確定申告を省略できる場合があります。ただし、住民税申告が必要なことがあり、医療費控除などのため確定申告する場合は20万円以下の副業所得も申告します。詳しくは「Uber Eats配達パートナーの確定申告」をご覧ください。
売上別の残額を出すときは経費率を決める
「売上300万円ならいくら残すか」を考えるには、先に実際の経費を引く必要があります。
| 年間売上 | 年間経費 | 所得 | 所得の20%を確保 |
|---|---|---|---|
| 100万円 | 30万円 | 70万円 | 14万円 |
| 200万円 | 60万円 | 140万円 | 28万円 |
| 300万円 | 90万円 | 210万円 | 42万円 |
| 500万円 | 150万円 | 350万円 | 70万円 |
すべて経費率30%とした資金管理例であり、上の税額シミュレーションとは別の表です。自転車と原付では経費率が異なり、車両購入や修理が重なった年も変わります。毎月の実額で更新してください。
税金用資金を毎月残す方法
1.税金・社会保険用の口座を分ける
生活費と同じ口座に置くと使いやすいため、報酬の入金後に別口座へ移します。会社員の副業なら所得の20%から始め、給与を含む税率を確認して調整します。専業なら税金と社会保険を分けて積み立てます。
2.月末に所得を計算する
売上だけでなく、ガソリン、修理、通信費などの経費を記帳します。
月間所得 = 月間売上 − 月間経費
月間所得へ自分の積立率を掛け、税金用口座へ移します。現金配達を利用している場合は、銀行への振込額だけで売上を判断しないようにします。
3.3か月ごとに試算を更新する
確定申告書等作成コーナーや自治体の試算ページが更新されたら、年換算の所得を入力します。所得が税率区分を超えそうな場合、扶養や社会保険が変わった場合、インボイス登録した場合は積立率を見直します。
4.住民税の納付後も積立を止めない
住民税は前年所得をもとに翌年度に届きます。納付後に口座残高が減っても、その年の所得税と翌年度住民税の積立は続けます。
税金を正しく抑える方法
必要経費を漏れなく記録する
配達に直接必要な支出を記録し、私用と共用する費用は合理的な基準で按分します。私的な支出を経費へ入れることは節税ではありません。
青色申告の要件を満たす
配達活動が事業所得に当たり、期限内に承認申請をした人は、要件に応じて青色申告特別控除などを利用できます。「青色申告と白色申告の違い」を確認してください。
所得控除を確認する
国民健康保険料、国民年金保険料などは必要経費ではなく、社会保険料控除の対象です。生命保険料控除、医療費控除、扶養控除なども、要件を満たす場合に申告します。
事業として継続する場合は、開業届の手続きも確認してください。会社員が副業で配達する場合は、勤務先に知られる原因と対策、配達車両の補償については任意保険の選び方も参考になります。
Uber Eats配達パートナーの税金に関するQ&A
Q.売上の20%を残せば足りますか?
A.一律には足りません。会社員の給与額、専業か副業か、経費、青色申告、個人事業税、消費税、社会保険料で変わります。売上ではなく所得から積み立て、年に数回試算してください。
Q.所得100万円なら税金は0円ですか?
A.2026年分の所得税は基礎控除だけでも0円になる例がありますが、住民税は基礎控除と非課税基準が異なるため発生する場合があります。
Q.国民健康保険料も税金の20%に含まれますか?
A.含めない方が安全です。国民健康保険料は自治体と世帯状況で変わるため、所得税・住民税とは別に試算して取り分けます。
Q.副業所得が20万円以下なら住民税も不要ですか?
A.所得税の確定申告を省略できる場合でも、住民税申告が必要になることがあります。居住地の市区町村へ確認してください。
Q.個人事業税は所得290万円以下なら必ず0円ですか?
A.年間を通じて事業を行った場合の事業主控除は290万円ですが、事業期間が1年未満なら月割りです。業種区分や所得計算も含めて都道府県税事務所へ確認してください。
まとめ
Uber Eats配達パートナーが残しておく金額は、売上ではなく「売上−必要経費」で計算した所得を基準にします。会社員の副業は所得の15〜30%、専業は税金だけで15〜25%を暫定目安にし、国民健康保険・国民年金・消費税は別に試算すると安全です。
税額は所得控除、青色申告、自治体、世帯構成で大きく変わります。毎月売上と経費を記帳し、3か月ごとに試算を更新して、納付期限前の資金不足を防ぎましょう。



