Uber Eatsの配達で報酬を得たら、会社員の副業でも確定申告が必要になる場合があります。ただし、判断に使うのは入金された「売上」ではなく、売上から必要経費を引いた「所得」です。
また、よく聞く「20万円以下なら申告不要」は、一定の条件を満たす給与所得者に対する所得税の扱いです。専業の配達員にはそのまま当てはまらず、所得税の確定申告が不要でも住民税の申告が必要な場合があります。
この記事では、2026年8月時点の国税庁の情報をもとに、申告が必要になる条件、経費、所得区分、申告方法と期限を整理します。税額や申告義務は、ほかの所得や控除によって変わります。個別の判断は税務署、自治体または税理士へ確認してください。
【結論】確定申告が必要かは所得と働き方で判断する
まずは、Uber Eatsの年間売上と経費を集計します。
Uber Eatsの所得 = 年間売上 − 必要経費
主な判断の目安は次のとおりです。
| 配達員の状況 | 所得税の確定申告の目安 |
|---|---|
| 会社員で、1か所から給与を受け、年末調整済みなどの条件を満たす | 給与・退職所得以外の所得合計が20万円を超えると原則必要 |
| 上記の副業所得が20万円以下 | 所得税の申告を省略できる場合があるが、住民税は自治体へ確認 |
| Uber Eatsを本業にしている | 20万円基準では判断しない。年間の所得、所得控除、ほかの所得から判定 |
| 医療費控除などを受けるため確定申告する会社員 | 20万円以下の副業所得も含めて申告 |
| インボイス発行事業者として登録している | 所得税とは別に、消費税の申告が必要になる場合がある |
「副業だから必ず20万円まで申告不要」「専業なら所得104万円まで申告不要」と一律には判断できません。順番に条件を確認しましょう。
売上ではなく所得を計算する
Uber Eatsから1年間に受け取った報酬が売上です。そこから配達に直接必要だった費用を引いた残りが所得になります。
たとえば、年間売上が70万円、必要経費が18万円なら、Uber Eatsの所得は52万円です。
70万円 − 18万円 = 52万円
会社員の「20万円」の判定では、Uber Eatsだけでなく、給与・退職所得以外の対象となる所得を合計します。ほかの副業収入がある人は一緒に集計してください。
Uberの入金額だけで判断すると、現金配達で回収した注文代金などとの関係が分かりにくくなる場合があります。アプリや税務資料で年間の売上を確認し、銀行への振込額だけで集計を終えないようにします。
会社員の副業は「20万円ルール」の条件を確認する
給与所得者が所得税の確定申告を省略できる代表的な条件は、1か所から給与を受け、その給与の全部が源泉徴収の対象で年末調整済み、給与収入が2,000万円以下で、給与・退職所得以外の所得合計が20万円以下であることです。
ただし、次の点に注意してください。
- 2か所以上から給与を受けている場合は別の判定がある
- 医療費控除や寄附金控除などのため確定申告する場合、20万円以下の副業所得も記載する
- 所得税の確定申告をしない場合でも、住民税の申告が必要なことがある
住民税の手続きは市区町村によって案内が異なります。居住地の自治体サイトで申告方法と期限を確認してください。
本業の配達員は20万円では判断しない
Uber Eatsが主な収入である人は、年間所得から基礎控除などの所得控除を差し引き、課税される所得があるかを確認します。
2026年分の所得税では、合計所得金額が489万円以下の人について、基礎控除62万円と時限的な加算42万円を合わせた104万円が示されています。ただし、合計所得金額が489万円を超えると加算額が変わり、基礎控除だけで申告義務を一律に判定することもできません。
国民健康保険料、国民年金保険料、生命保険料、扶養の状況などによって所得控除は変わります。Uber Eats以外の所得がある場合も合算が必要です。「所得が104万円以下なら全員何もしなくてよい」という意味ではありません。
Uber Eatsの所得は事業所得か雑所得か
Uber Eatsの所得区分は、専業か副業かという呼び方だけでは決まりません。国税庁は、営利性、継続性、活動規模、帳簿の保存などを含め、社会通念上「事業」といえる程度かどうかで判定するとしています。
取引を記録した帳簿書類を保存していない場合は、収入金額が300万円を超え、事業と認められる事実がある場合を除き、原則として業務に係る雑所得として扱われます。
事業所得と雑所得では、青色申告特別控除や赤字の扱いなどが異なります。所得区分を節税目的だけで選ばず、稼働実態と記録に基づいて判断してください。迷う場合は税務署または税理士へ相談しましょう。
Uber Eats配達パートナーが経費にできる主な費用
必要経費にできるのは、配達収入を得るために直接必要だった費用です。
- 配達バッグや保温・固定用品
- 自転車や原付の修理・整備費
- 配達中のガソリン代や駐輪料金
- スマートフォンの通信費
- スマホホルダー、モバイルバッテリー、雨具など
- 配達に使用する車両の保険料
- 会計ソフト利用料や振込手数料
私用にも使うスマートフォン、車両、通信費などは全額を自動的に経費にできません。稼働日数、通信量、走行距離など、合理的な基準で配達分を分けます。高額な車両や機器は、購入年に全額を引かず、減価償却が必要になることもあります。
詳しい項目は「Uber Eats配達パートナーの経費になるもの一覧」で確認してください。
確定申告の前に準備するもの
申告直前に1年分を整理すると、売上や経費の漏れが起きやすくなります。毎月、次の資料をまとめておくとスムーズです。
- Uber Eatsの売上を確認できる明細
- 経費の領収書、レシート、請求書
- クレジットカードや銀行口座の利用明細
- 車両の走行記録や家事按分の計算根拠
- 会社員の場合は給与所得の源泉徴収票
- 国民年金、生命保険料などの控除証明書
- マイナンバーカードなど本人確認に必要なもの
事業所得がある人は、確定申告が不要となる場合でも帳簿や書類の保存が必要です。業務に係る雑所得でも、前々年の収入金額が300万円を超える場合は、現金預金取引等関係書類を5年間保存する必要があります。
Uber Eats配達パートナーが確定申告する流れ
1.年間売上を集計する
対象期間は1月1日から12月31日までです。週ごとの入金だけでなく、年間の取引が分かる資料で売上を確認します。
2.必要経費を集計する
領収書や利用明細をもとに費目別に整理します。私用と共用する費用は、按分の基準と計算結果も残します。
3.所得区分を確認する
稼働実態や帳簿保存の状況から、事業所得か業務に係る雑所得かを確認します。事業所得として申告する場合は、収支内訳書または青色申告決算書も作成します。
4.所得控除を入力する
社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除など、該当する控除を証明書に沿って入力します。
5.申告書を作成して提出する
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」なら、画面案内に沿って作成できます。対応するスマートフォン、マイナンバーカード、マイナポータルアプリがあれば、e-Taxで送信できます。税務署へ持参または郵送する方法もあります。
6.所得税を納付する
納付額がある場合は期限までに支払います。振替納税、インターネットバンキング、クレジットカード、スマホアプリなど、利用条件を確認して選びましょう。
2026年の確定申告期限
「2026年の確定申告」が何年分の所得を指すかで期限が変わります。
- 2025年分の所得:申告・納付期限は2026年3月16日(月)で終了
- 2026年分の所得:現行制度上の期限は2027年3月15日(月)の予定
2026年分の正式な申告案内は、国税庁の特設ページ公開後に改めて確認してください。期限を過ぎても申告はできますが、納付税額があると無申告加算税や延滞税がかかる場合があります。気づいた時点で早めに申告・納付しましょう。
青色申告を利用したい場合
青色申告は、事業所得などがある人が所定の承認申請をした場合に利用できます。原則として、青色申告を始める年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を提出します。1月16日以降に新しく事業を始めた場合は、開始日から2か月以内が期限です。
青色申告特別控除は、帳簿の方式や期限内申告、e-Taxなどの要件によって控除額が異なります。開業手続きも含めて確認したい人は「Uber Eats配達パートナーに開業届は必要?」も参考にしてください。
インボイス登録者は消費税にも注意する
適格請求書発行事業者として登録している人は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも、消費税の申告が必要です。所得税の確定申告とは別の手続きなので、登録している人は消費税の申告期限と計算方法も確認してください。
Uber Eats配達パートナーの確定申告に関するQ&A
Q.会社員でUber Eatsの所得が20万円以下なら何もしなくてよいですか?
A.一定の条件を満たせば所得税の確定申告を省略できる場合があります。ただし、住民税の申告が必要なことがあるため、居住地の市区町村へ確認してください。
Q.売上が20万円を超えたら確定申告が必要ですか?
A.20万円の判定に使うのは原則として売上ではなく、売上から必要経費を引いた所得です。また、この基準は一定の給与所得者に対するものです。
Q.開業届を出していなくても確定申告できますか?
A.できます。開業届の提出と確定申告の可否は別です。ただし、事業所得として青色申告を利用する場合は、期限までに青色申告承認申請書を提出する必要があります。
Q.領収書がない支払いは経費にできませんか?
A.領収書がないだけで直ちに経費にならないとは限りません。カード明細、注文履歴、出金記録などで、日付、金額、支払先、業務との関係を説明できるようにします。
Q.赤字でも申告した方がよいですか?
A.所得区分やほかの所得、青色申告の有無によって扱いが異なります。給与との損益通算を前提に事業所得を選ぶことはできないため、実態をもとに税務署や税理士へ確認してください。
まとめ
Uber Eats配達パートナーの確定申告は、入金額ではなく「売上−必要経費」で計算した所得をもとに判断します。会社員の20万円ルールには条件があり、所得税の申告を省略できても住民税の手続きが必要な場合があります。
年間売上、領収書、利用明細、走行記録を日頃から残し、事業所得か雑所得かも稼働実態に合わせて確認しましょう。期限直前に迷った場合は、推測で処理せず税務署、自治体または税理士へ相談してください。




