Uber Eatsや出前館など複数のフードデリバリーアプリを使うと、注文機会は増やしやすくなります。一方で、アプリごとに報酬の表示方法や入金日が異なるため、「今月いくら売り上げたのか」「経費を引くといくら残ったのか」が分かりにくくなります。
売上管理で重要なのは、銀行に振り込まれた金額だけを記録するのではなく、各アプリの売上・入金・経費を分けて記録することです。この記事では、複数アプリの報酬を1つの表にまとめ、日次・週次・月次で管理する方法を解説します。
※本記事は一般的な管理方法を紹介するもので、個別の税務判断を行うものではありません。所得区分、計上時期、消費税などの扱いは状況によって異なるため、不明点は税務署または税理士へ確認してください。
フードデリバリーの売上管理で分ける3つの金額
最初に「売上」「入金」「利益」を分けます。この3つを同じ金額として扱うと、複数アプリを使った月ほど集計がずれやすくなります。
| 項目 | 意味 | 確認する場所 |
|---|---|---|
| 売上 | 配達で発生した報酬の合計 | 各アプリの売上・報酬明細 |
| 入金 | 銀行口座へ実際に振り込まれた金額 | 振込明細・通帳 |
| 利益 | 売上から業務上の経費を引いた金額 | 自分の管理表・会計ソフト |
たとえば月末に完了した配達の報酬が翌月に振り込まれる場合、その月の売上と銀行入金額は一致しません。また、現金配達、調整額、手数料、前週分の繰越などがあると、差額はさらに大きくなります。
複数アプリの報酬をまとめる管理表
管理表は、アプリごとに別ファイルを作るより、1つの表へ縦に追加する形式がおすすめです。「サービス名」の列を作れば、全体の売上とアプリ別の売上を同じデータから集計できます。
最低限、次の項目を記録します。
| 日付 | サービス | 配達報酬 | 追加報酬 | チップ | 調整額 | 売上合計 | 件数 | オンライン時間 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 8月1日 | A社 | 5,400円 | 1,000円 | 300円 | 0円 | 6,700円 | 9件 | 5.0時間 |
| 8月1日 | B社 | 2,100円 | 400円 | 0円 | 0円 | 2,500円 | 3件 | - |
売上合計は、次の式で統一します。
売上合計 = 配達報酬 + 追加報酬 + チップ + 調整額
返金やマイナス調整がある場合は、調整額をマイナスで入力します。項目名は各社の表示に完全に合わせる必要はありません。異なる名称の報酬を「通常報酬」「キャンペーン」「チップ」「調整」に寄せることで比較しやすくなります。
同時オンライン時の稼働時間は重複させない
複数アプリを同時にオンラインにした時間を、各社へそのまま記録すると合計時間が二重になります。全体の実質時給を計算するときは、稼働開始から終了までの実時間を別に1回だけ記録してください。
全体の実質時給 =(全アプリの売上-全経費)÷ 重複を除いた実稼働時間
サービス別の効率は「1件当たり売上」と「件数」で比較し、全体の実質時給は重複を除いた実時間で計算します。
掛け持ち時の動き方はフードデリバリー配達員の掛け持ち完全ガイドで解説しています。
売上と振込額を照合する方法
売上表とは別に、入金管理の欄を作ります。
| 入金日 | サービス | 対象期間 | 明細金額 | 入金額 | 差額 | 確認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 8月7日 | A社 | 7月29日~8月4日 | 32,500円 | 32,500円 | 0円 | 確認済み |
照合は次の順番で行います。
- 各アプリから週次または月次の売上明細を確認する
- 対象期間と明細の合計金額を記録する
- 銀行口座の入金額と照合する
- 差額があれば、現金配達・手数料・調整・繰越を確認する
- 一致した行を「確認済み」にする
Uberは、ドライバー用アプリの売り上げ欄で日別・週別の概要や詳細を確認できると案内しています。サービスごとに確認画面は異なりますが、日々のスクリーンショットだけに頼らず、利用できる明細や取引履歴を定期的に保存してください。
振込額だけを売上にしない
振込額だけでは月の活動実績を正しく把握できません。「配達日」「明細上の対象期間」「入金日」を別々に残します。
現金配達は受け取った現金をそのまま売上にしない
現金配達で受け取る金額には料理代などが含まれる場合があります。全額を配達売上へ加えず、現金受取額、報酬、相殺額、入金額を明細に従って分けます。
経費も同じ期間で管理する
売上だけをまとめても、実際に残った金額は分かりません。経費表には次の項目を作ります。
| 日付 | 経費科目 | 内容 | 金額 | 支払方法 | 事業割合 | 経費算入額 | 証憑 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 8月2日 | 車両費 | 配達中の給油 | 1,500円 | カード | 80% | 1,200円 | 保存済み |
フードデリバリーで記録候補になる支出には、次のようなものがあります。
- ガソリン代、充電代、駐車料金
- 自転車・バイク・軽自動車の整備費
- 配達バッグ、スマホホルダー、雨具などの装備品
- 業務で使用するスマートフォンの通信費
- 業務に関係する保険料
- 会計ソフトやクラウド保存の利用料
私用と業務の両方で使うスマートフォンや車両は、支払額の全額が自動的に経費になるわけではありません。業務で使用した割合を説明できる記録を残し、事業分だけを分けます。
経費と待機時間を含めた効率はフードデリバリー配達員の実質時給の計算方法も参考にしてください。
日次・週次・月次で行う作業
毎回すべてを細かく集計すると続かないため、作業を3段階に分けます。
稼働日の終了後に行うこと
- サービス別の売上と件数を入力する
- 全体のオンライン開始・終了時刻を入力する
- 給油や駐車料金など当日の経費を入力する
- 領収書や明細データを保存する
週1回行うこと
- アプリ明細と管理表の売上を照合する
- 銀行振込と対象期間を確認する
- 現金配達や調整額の差を確認する
- 売上、件数、1件当たり売上、実質時給を比較する
月末に行うこと
- 全サービスの月間売上を確定する
- 月間経費と利益を集計する
- 未入金と入金済みを分ける
- アプリ別構成比を確認する
- 明細、領収書、管理表を月別フォルダへ保存する
月間目標との比較にはフードデリバリー配達員で月5万・10万・30万円稼ぐには?を利用できます。
スプレッドシートと会計ソフトの使い分け
スプレッドシートは配達効率の分析、会計ソフトは売上・経費の記帳に向いています。次のように役割を分けます。
各アプリの明細
↓
スプレッドシート:稼働分析と明細照合
↓
会計ソフト:月間売上と経費の記帳
↓
銀行口座:実際の入出金確認
件数が少なければスプレッドシートから始め、取引が増えた段階で会計ソフトへの月次入力を検討します。
帳簿と明細データを保存する
国税庁は、事業所得などを生ずべき業務を行う人について、収入や必要経費を記帳し、帳簿や請求書・領収書などを保存する必要があると案内しています。青色申告では、仕訳帳や総勘定元帳などの帳簿は原則7年保存とされています。
アプリやウェブ上で受け取った明細は、後から閲覧できなくなる可能性も考え、定期的に保存します。フォルダ名を次の形に統一すると探しやすくなります。
2026年
├─ 01月
│ ├─ 売上明細
│ ├─ 入金明細
│ └─ 経費領収書
├─ 02月
└─ 03月
ファイル名には日付・サービス名・金額・内容を入れます。電子的に受け取った取引情報は、国税庁の電子帳簿保存法の案内も確認してください。
売上管理でよくある失敗
アプリ残高と銀行入金だけを見る
対象期間がずれるため、月間売上を正しく比較できません。配達日と入金日を両方残します。
キャンペーン報酬を通常報酬に混ぜる
一時的な追加報酬で実質時給が上がったのか、通常の注文効率が上がったのか分からなくなります。追加報酬は別列にします。
同時オンライン時間をアプリごとに足す
2時間の同時オンラインを2社へ2時間ずつ入れると、全体では4時間になってしまいます。全体時間は1回だけ記録します。
経費を月末に思い出して入力する
私用か業務用か判断できなくなり、領収書も紛失しやすくなります。支出した日に記録します。
売上と所得を混同する
売上は報酬の合計、所得は一般に収入から必要経費を差し引いて計算します。会社員の副業でよく使われる「20万円」という基準も売上額ではなく所得金額の話です。また、所得税の確定申告が不要でも住民税の申告が必要な場合があるため、自治体の案内を確認してください。
よくある質問(FAQ)
Q. 複数アプリの売上は別々の表で管理したほうがよいですか?
A. 1つの表にサービス名の列を作る方法が集計しやすいです。アプリ別の合計はフィルターや集計表で確認できます。
Q. 銀行に振り込まれた日を売上日にしてもよいですか?
A. 入金日と売上が発生した日は一致しないことがあります。少なくとも配達日、明細の対象期間、入金日を別々に残し、税務上の処理は自分の状況に応じて確認してください。
Q. チップやキャンペーンも売上に含めますか?
A. 配達業務によって受け取った金額は、通常報酬と分けて記録したうえで合計します。返金やマイナス調整も別列に残します。
Q. 現金配達で受け取った現金は全額が売上ですか?
A. 料理代など自分の配達報酬ではない金額が含まれる場合があります。現金受取額をそのまま売上にせず、各アプリの精算明細で報酬と相殺額を確認してください。
Q. スプレッドシートだけで確定申告できますか?
A. 件数や取引量、申告方法によって必要な帳簿は異なります。スプレッドシートは日常管理に便利ですが、青色申告などでは求められる記帳方法と保存要件を確認してください。
まとめ
複数アプリの売上管理では、各社の報酬を1つの表へまとめ、売上・入金・経費を分けて記録します。毎日の入力は売上、件数、時間、経費に絞り、週1回は明細と振込を照合、月末に全サービスの利益を確定する流れにすると続けやすくなります。
振込額だけで売上を判断せず、通常報酬、追加報酬、チップ、調整額、現金精算を分けて残してください。これにより、確定申告の準備だけでなく、どのサービスと時間帯が本当に効率的かも判断できます。




